遺産分割で知っておきたいトラブルの対処法について知ろう!

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更新日:2021年06月29日

 遺産相続はただでさえ、人生で数えるほどしか経験することのないことなのに、予期せぬトラブルに見舞われることも無きにしも非ずです。ここでは、遺産分割で起こりがちな、知っておいて損はないトラブルの事例をみていきます。

目次

遺産分割で知っておきたいトラブルの例

相続人であることを無視されたまま遺産分割協議

 遺産分割協議は、相続人全員でおこなわなければなりません。しかし、この遺産分割協議に参加する権利のある相続人がその存在を無視され、参加できなかった場合には、どうしたら良いのでしょうか?遺産分割協議書を渡されてハンコを押せと迫られるかもしれません。
このような場合は自分を交えて遺産分割協議をやり直すことを求め、受け入れられないのであれば家庭裁判所に調停を起こすべきでしょう。

話し合いがまとまらない遺産分割協議

 相続人全員でおこなう必要のある遺産分割協議では、いくら話し合いを続けても共同相続人の間で足並みがそろわない、意見がまとまらない、ということもあります。そのような時には、家庭裁判所で裁判官に判断してもらうことができます。これを審判といいます。ただし、相続では当事者間の話合いによる自主的な解決が期待されるため、審判の前に裁判所の調停委員が入って話し合う調停を経ることが一般的です。(詳しくはコラム「遺産分割の調停と審判について知ろう!」をご参照ください。)相続の当事者間ではなかなか話をまとめることができない場合、家庭裁判所で調停や審判を申し立てて調停委員や裁判官といった第三者の力を借りることを検討してみましょう。

共同相続人が名義変更に応じない

 遺産分割協議で取り決めた遺産分割案に合意して、遺産分割協議書に実印を押したにも関わらず、いざ不動産の名義変更を登記する段になって、手続に協力してくれない親族が出てくることがあります。遺産分割協議成立した時点で所有権は移転しているのですが、法定相続分を超える権利関係の変動を第三者に主張する(第三者に対抗する)ために登記をおこないます。この登記には、遺産分割協議書の内容に相続人全員が同意したことを証明するために、相続人全員の印鑑証明を添える必要があります。この時、一部の相続人が意図的であるか否かを問わず印鑑証明を提供しない、といったことがあるのです。
 こういった場合には、遺産分割協議書を証拠として「所有権移転登記請求の訴え」を提起し、勝訴判決により登記をおこなうことができます。
 登記ができないことにより起こり得る問題は例えば、名義変更に協力していない相続人に借金があり、その債権者が当該相続人の持分として法定相続分の不動産を差し押さえる、といったことです。表向き遺産分割協議に協力しても登記手続に協力しないのであれば、相応の理由があるのかも知れません。期限が定められていない相続登記は手続に支障が出た場合にはついつい後回しにしがちですが、できるだけ速やかに完了できるよう手を打ちましょう。

遺産分割協議後に新たに遺産が見つかった

 遺産分割協議は、相続人全員の合意によって遺産の分配の仕方が決まります。以後、遺産分割協議書に効力が発生するので、取消しや無効になる原因がない限り、協議のやり直しは主張できません。では、協議から漏れた遺産が後になって見つかった場合は、どうなるのでしょうか?
 この場合、新たに別の遺産分割協議を行うことが基本で、元の遺産分割協議のやり直しにはなりません。しかし、後に発覚した遺産が極めて重要で、元の遺産分割協議に多大な影響を与える場合や相続人の一部が故意に遺産を隠していた場合には、遺産分割協議の無効を主張して、遺産分割協議をやり直せることもあります。
 遺産分割協議では、新たに遺産が見つかった場合にどの様に分割するのかを予め合意しておくこともできますが、後から見つかるのが非常に高価なものの場合もありえます。遺産分割協議の前には、徹底的に財産調査をするのが鉄則であることには変わりありません。

遺言書が後から出てきた

 前述のように、一度、遺産分割協議書ができあがると、滅多なことではその遺産分割協議書が無効になることはありません。では、遺産分割協議がまとまり、遺産分割協議書ができあがった後になって遺言書が見つかった場合はどうなるのでしょうか?
 結論から言うと、遺産分割協議による遺産の分配と遺言書の内容が異なる場合には、遺言書の内容に従うことになります。遺言書に従うことが故人の遺志を尊重することになるからです。
 ただし、遺言書があっても相続人全員がそれとは異なる分配での相続に納得している場合には、そのままとすることも可能です。遺言書と異なる相続が遺産分割協議により可能だったように、遺産分割協議の後で遺言書が見つかった場合でも同様に考えられるのです。つまり、この場合、先に成立した遺産分割協議は引き続き有効です。
 再分割のための協議が必要になるのは、①遺言書の発見により先の遺産分割に合意しない相続人が出た場合、②遺言書の中で子どもの認知がなされているなど先の遺産分割協議の時とは相続人が異なる場合、③遺言書の中で法定相続人以外への遺贈が記されている場合です。もっとも、②や③の場合でも、新たに加わった相続人や受遺者(遺贈を受ける人)がその権利を放棄すれば、遺言書とは異なる先の遺産分割協議通りの遺産分割に合意したことになるなるので、再分割のための協議も不要になります。

まとめ

 ここでは、遺産分割に関して知っておきたいトラブルについてお伝えしてきました。遺産相続は、人生で頻繁に経験することではない上に、予期せず起こることでもあります。突然、初めて知ることも多く、どう対処すれば良いのかわからない、対処するにも十分な時間の余裕も心の余裕も無い、ということは珍しくありません。もしもの時には、専門家による無料相談もご活用ください。

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