遺産分割の調停と審判について知ろう!

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更新日:2021年10月26日

遺産分割の調停と審判について知ろう!

 相続人全員で話し合う遺産分割協議は誰が何をどれだけ相続するかに争いが生じてくると、当事者同士でまとめていくのは困難になってきます。遺産分割協議には期限がなく、目安となる相続税の申告も期日までに遺産分割協議がまとまっていなければ、相続人が法定相続分で相続した形の申告書を作成し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付すれば良いとされるので絶対ではありません。遺産分割協議がずるずると長引いてしまう可能性も無きにしも非ずです。もし、遺産分割協議が当事者間の話し合いでは着地点を見出せない状況に陥っているのであれば、家庭裁判所に調停を申し立てることもできます。さらに、調停で合意できなければ、遺産分割審判へと進むことになります。ここでは、遺産分割の調停と審判について詳しくお伝えします。

そもそも遺産分割調停・審判とは?

遺産分割調停

 遺産分割調停とは、裁判官と調停委員が仲介者として相続人の間に中立的立場で入って遺産分割に関する話し合いを整理する手続です。あくまで、相続人同士の合意を目指すことが目的で、裁判官と調停委員は、各相続人の言い分を個別にヒアリングした上で、公平で客観的な観点から遺産分割協議を手助けしてくれます。第三者が間に入ることにより、相続問題で対立している他の相続人と顔を合わさずに済ますこともできるので、当事者が面と向き合っては感情的になってなかなか進まなかった話し合いも前に進む可能性がでてきます。

審判

 遺産分割調停でも話がまとまらず、調停が不成立になった場合には、審判手続に移行することになります。制度上は調停を経ることが必須とされている訳ではないので、遺産分割協議がまとまらない場合、直接、審判を申し立てることも可能ではあります。ただし、相続人同士で十分に話し合いを尽くさない遺産分割は、家族や親族間におけるその後の不仲の原因にもなるので、一般には話し合いによる解決が最善と考えられています。調停を経ずに遺産分割審判を申立てた場合、家庭裁判所が理由を確認し、判断次第では調停に回されることもあります。遺産分割審判が遺産分割調停と違うのは、裁判所が仲介者として遺産分割協議の進行を助けるのではなく、審判を下すことにあります。

遺産分割調停・審判での遺産分割方法とは?

法定相続分による分割

 遺産分割協議では相続人同士で自由に遺産の割合を決めることが可能ですが、審判においては、相続人の間の相続割合は法定相続分が基本になります。調停では相続人全員の合意さえ得られれば、法定相続分と異なる分割割合も可能です。しかし、審判になると、裁判所が遺産分割に関する決定を下し、その判断においては法定相続分が重視されることになります。法定相続割合と異なる分割を望むのであれば、審判になる以前の段階で遺産分割協議を成立させることが肝要です。

分割方法は実現可能なものから選択、共有は原則無し

 遺産分割方法には、現物分割・代償分割・換価分割・共有分割があります(詳しくはコラム「遺産相続で把握しておきたいポイント!遺産相続の方法と種類について知ろう!」をご参照ください)。遺産分割協議と調停では、相続人全員の合意さえ得られれば、相続割合が自由に決められたのと同様、遺産分割方法も自由に決めることができます。しかし、審判では実現性のない方法で決着することはありません。例えば、代償金の支払い能力がない場合は、代償分割は選択されませんし、売却が見込めるようであれば不動産が換価分割するよう指定される可能性もあります。

遺産分割調停・審判の流れとは?

遺産分割調停の流れ

遺産分割調停申立の方法

 遺産分割調停を申し立てるには、管轄の家庭裁判所に遺産分割調停申立書を提出します。申立書は、裁判所か裁判所HPから入手できます。ひな形や記入例もあるので、それらに倣い必要情報を書き込んでいきます。他にも、相続人の戸籍謄本、遺産内容に応じた書類などが必要になります。こうして必要書類を揃えたら、相続人の内一人の住所地を管轄する家庭裁判所、あるいは、相続人の合意で決めた家庭裁判所へ提出します。調停では複数回、家庭裁判所へ出向くことになるので、一番通いやすい場所にある家庭裁判所にするのが良いでしょう。申立は弁護士に依頼しなくても行うことは可能ですが、依頼すれば必要書類の全部または一部の収集を弁護士が代わりに行ってくれたり、申立書を作成してくれるので慣れない作業を一人で悩みながら行うことから解放されます。また、調停では弁護士が出席することができ、法律上の助言を受けることができます。

調停で行われること

 申立てが受理されると、裁判所から相手方となる他の相続人には調停期日開催日の通知が届きます。相続人は、期日に裁判所に出頭して、裁判官1名と最高裁判所から任命される調停員2名からなる調停委員会を交えた話し合いを調停室といわれる部屋で個別におこないます。対立している相続人同士が顔を合わせるのは、調停手続の説明時と調停成立時ですが状況に応じて他のやり方が取られるなどの配慮がされることもあります。
 調停は、おおよそ1,2月に1回のペースで平日10時~17時の間の約2時間、協議が終わるまで少なくとも3回程度はおこなわれます。裁判所が公開している近年の司法統計によるとおよそ1/3の調停が1年以上かかっているようです。
 相続人と調停委員会が話し合う内容は、遺産分割協議の流れと同じで、相続人は誰か、どんな遺産があるか、といったところから、各相続人の取り分はどの程度か、金銭的評価などに至るまでを順に確認していきます。これら個々のことがらについて相続人全員で合意を積み重ねていくことにより、遺産分割調停が進行していきます。
 前述の通り、調停は相続人同士の合意を目指しているので、裁判官も調停委員も結論を強制することはありません。調停で提示された遺産分割案に対して1人でも相続人が反対した際には、調停は不成立になり、その次の解決手段として遺産分割審判に移行することになります。

調停が成立後の遺産分割は?

 遺産分割調停で話し合った遺産分割内容に相続人全員が合意すれば、その内容を記した調停調書が裁判所の書記官によって作成されます。そして、この調停証書に基づいて遺産分割の手続を進めるのですが、調停証書は、基本的に裁判の判決と同等の効力があるので、仮に調書の内容に従わない相続人が出てきたとしても、強制的に手続を進めていくことができます。

遺産分割審判の流れ

遺産分割審判申立の方法

 遺産分割調停が不成立になると、遺産分割審判へ当然に移行するので、調停申立時に審判の申立があったものと見做されます。したがって、審判の申立のために必要な手続はありません。審判は、調停を行った裁判所で行います。

審判で行われること

 調停と異なり、当事者である相続人同士が一堂に会す手続きが開かれることがありますが話し合いは行いません。裁判官が相続人の提出した主張書面や証拠をもとに、不明な点は相続人から聞き取り、審判を下します。審判では自分の主張を書面にまとめる必要がある、その主張を法律の専門家である裁判官に示す必要がある、といったことから、弁護士に相談・依頼するメリットは調停に比べるとより大きいと言えます。
 相続人が特別受益や寄与分を主張する場合は、それらについても考慮されます。特別受益の持ち戻しや寄与分が評価されると、当初考えられていた法定相続分とは違う割合で遺産分割されるケースもあります。
 審判の最中でも、話し合いで解決ができそうな状況が生じれば、裁判官が調停の席を設け、相続人全員の合意を得られれば、調停が成立することになります。

審判に納得できなかったらどうすればよいのか?

 審判告知された日の翌日から2週間が経過すると、審判は確定となります。下された審判に不服がある場合、相続人は2週間以内であれば即時抗告する(不服を申し立てる)ことによって、高等裁判所に審理してもらうことができます。

遺産分割審判を有利に進めるポイントとは?

適切な主張・資料の提出

 審判は調停とは異なり、書面に基づいた審理であることは先にお話ししました。つまり審判では、法的に正しい内容の主張や資料の提出ができなければ、自分の希望を審理の場にあげることができません。例えば、法定相続分と異なる遺産分割方法の必要性を主張したくても、そこに法的根拠や主張を裏付ける資料が無ければ、その主張は考慮されないことになります。このため審判を有利に進めるには、主張内容を法的に論理立てて書面にする法律知識と書面作成力、その書面を通じて裁判所を説得しうるだけの文章力が必要になってきます。

弁護士への依頼がおすすめ

 調停では話し合いが行われるので、自力で対応する人も多いですが、法的知識が不十分では主張すべきところと譲歩すべきところの判断を誤らないとも限りません。一度限りの遺産分割で不利になることが無いよう専門家の助言は得ていて損はありません。書面審理が行われる審判では、前述のような理由からなおさらです。調停は自力で対応できたとしても、審判では調停段階からの主張が審理対象になるので、調停で合意に至る見込みの低い案件では、調停の段階から弁護士の力を借りるのが得策でしょう。特に、相手方に弁護士が付いている場合では、法的知識や交渉経験の差により不利益が生じかねないので、弁護士を代理人にすることを検討されることをおすすめします。

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