遺産分割協議と調停・審判

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遺産分割協議とは

被相続人に死亡し、被相続人に財産が残されていた場合、相続人間でどの遺産を誰が相続するのかについて話し合いを行う必要が生じます。
遺産として自宅土地建物・銀行の預貯金・現金などが残されていた場合に、これらの遺産を相続人でどのように配分するのかについての話し合いをして遺産を分けることになります。この話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。

相続人が複数いる場合、相続財産は分割協議が整うまで、同相続人の共同所有となり、また、それと同時に、その分割方法について協議をしなければなりません。
協議が成立しないと、いつまでも遺産を分けられないので、相続を開始したらできるだけ早い段階で遺産分割協議を始める必要があります。
しかし、遺産分割協議には、相続人全員が参加しなければならないので、まずは被相続人の、生まれてから死亡するまでの戸籍謄本類を集めて、「相続人調査」を行う必要があります。
また、どのような財産があるのかわからないと、遺産分割の協議を進められないので、事前に「相続財産調査」もする必要があります。
遺産分割協議において、相続人全員の合意があればどのような協議内容になったとしても遺産分割は有効に成立します。たとえ遺言の内容や法定相続分に反するものであっても、相続人全員の合意があれば、法的に全く問題ありません。

遺産分割協議の方法

遺産分割協議には2種類の方法があります。

【指定分割】 被相続人が遺言によって指示した分割方法
【協議分割】 共同相続人全員の協議により行う分割方法

遺産分割協議では、協議分割が優先されます。
たとえば、遺言によって相続財産がゼロになったとしても、遺産分割協議で共同相続人の合意が得られれば、遺産分割は成立するということです。

遺産分割の種類

遺産分割には3種類の方法があります。これらの方法であれば、どのような方法で分割しても構いません。

1.現物分割

相続財産そのものを、その形を変えないで分けます。土地なら土地、お金ならお金のまま分けます。土地とお金を誰かが土地、ほかの人がお金、という分け方もこれです。ただし、土地のみを現物分割すると、一筆(筆とは土地を数えるときの単位)が小さくなりすぎて、使い道がなくなり、価値も目減りすることがあります。

2.換価分割

相続財産を分けやすいお金に換えて分けます。不動産を換価分割するとは、その不動産を売って得たお金を分けることです。ただし、相続が発生してから急いで売ろうとすると、安くしか売れないこともあれば、買い手がつかず換価できないこともあります。

3.代償分割

相続人の内の誰かが、その人の相続分を超える財産を相続した場合、本来の相続分を超えた金額をほかの相続人にお金で払う分け方です。特定の誰かが不動産を相続した場合によく使われる方法ですが、不動産を相続した人は相応のお金を用意する必要があります。

◆もう1つの分割方法

なお、「共有分割」というものもあります。相続財産を相続人間で共有のままにしておく比較的簡単な分割です。ただし、不動産を売却する場合、共有者全員の同意が必要であり、意見が割れてしまうと何もできないということになるので注意が必要です。遺産分割協議未了の不動産は、所有権が共有状態となっていますのでご注意ください。

遺産分割協議の無効

遺産分割について協議が終了したとしても、後日、下記のような事情が発生した場合は、同遺産分割協議が無効、あるいは取消となる場合があるので注意が必要です。

共同相続人が一部除外されて遺産分割協議がなされた場合

遺産分割協議は、共同相続人全員の意思が合致して初めて成立するものです。そのため、一部の相続人を除外してなされた遺産分割協議は無効となります。例えば、被相続人が死亡した時点で被相続人が認知をした隠し子がいて、この隠し子の同意を得ずに遺産分割協議をしてしまったような場合が例として挙げられるでしょう。

遺産の一部を見落として遺産分割協議がなされた場合

遺産とすべき財産の中に一部見落としがあって、これを含めた上で合意がなされなければ遺産分割協議として不十分であると評価されるような場合、協議が無効とされる場合があります。

錯誤

錯誤があって遺産分割協議が成立した場合、遺産分割協議は無効になる可能性があります。錯誤とは、要は勘違いのことです。
想定されるケースとしては、遺言書が残されていたにもかかわらず、相続人がこれを知らず、遺産分割の協議をしてしまったような場合が挙げられます。ただし、このような場合に全て遺産分割協議が無効となるわけではありません。遺言の内容と遺産分割協議の内容がどの程度違うのか、そのほかもろもろの事情を考慮して、遺言の存在とその内容を知っていれば遺産分割協議に合意しなかったといえるように場合に、遺産分割協議が無効と判断される余地が出てくるでしょう。

詐欺、強迫

詐欺、脅迫があって遺産分割協議が成立した場合、遺産分割協議を取り消し得る場合があります。詐欺は、被相続人の財産を管理していた一人の相続人が、遺産を過少申告するなどした場合、強迫は、脅して無理やり望まない遺産分割協議で合意させた場合を例として挙げることができます。

◆遺産分割の解除は全員合意の場合のみ

一部の相続人に遺産分割協議書の内容に違反するという債務不履行があった場合でも、それを理由として遺産分割の解除はできません。相続人全員による合意解除のいが可能です。

遺産分割協議書の見本

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遺産分割調停と遺産分割審判

遺産の分割について、相続人間で話し合いを重ねても、どうしても遺産分割協議が成立しないということは、それほど珍しくはありません。このような事態が生じた場合、解決を望む相続人は、他の共同相続人全員を相手方として家庭裁判所に遺産分割調停、遺産分割審判を申し立て、解決を図っていくことになります。

遺産分割調停とは

遺産分割調停とは、簡単に言えば、家庭裁判所を利用して、相続人間で遺産分割の話し合いをするという手続です。裁判官である家事審判官、調停委員2人以上で構成される調停委員会に話し合いの仲立ちをしてもらえるという点が特徴です。調停委員会は、相続人全員から事情や意見を聴き、必要資料の提出などを促す、あるいは相続人全員が納得いく解決ができるよう提案をするなどして話し合いを進め、調停の成立を目指します。

遺産分割審判とは

もっとも、いくら調停委員会に仲介をしてもらえるといっても、調停はあくまで話し合いにしか過ぎません。そのため、調停委員会が解決を図ることに尽力されたとしても、相続人の一人が納得しないために分割協議が合意に至らない場合、調停は不成立となってしまいます。
このように遺産分割調停が不成立で終了した場合、自動的に審判手続が開始されます。この審判手続とは、家事審判官が、どのように遺産分割をするのか、強制的に決めてしまう手続です。たとえ同意しない相続人がいても、家事審判官が決定した遺産分割方法などに基づいて、分割が実施されることになります。
この審判の結果にもし不満があれば、高等裁判所に不服を申し立てることができます。この高等裁判所が下す判断になおも不満があるような場合は、最高裁判所に再度不服を申し立てることが可能です。

調停と審判の関係

法的には、遺産分割調停手続を経ずに、いきなり遺産分割審判を申し立てることも可能です。ただし、調停を経ずに審判の申立てがなされた場合、裁判所は、その申立を、審判の前に調停手続に付すことが出来ます。実務では、特別の事情がないような場合は、いきなり申し立てられた審判手続は、一度調停手続に付すという措置をとることが一般的です。

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