遺産相続で把握しておきたいポイント!遺産相続の方法と種類について知ろう!
更新日:2021年04月06日
遺産相続において、相続人として取り得る選択肢には、単純承認・限定承認・相続放棄の3つがあります。この内のどれを選択するか判断するためには、相続財産をしっかり把握していることが大切です。ここでは、遺産相続の方法と遺産分割の手段についてお伝えします。
目次
遺産相続、3つの方法について
①単純承認
単純承認というのは、故人の権利や義務を全て相続することを言います。つまり、単純承認ではプラスの財産もマイナスの財産も全て合わせて相続人が受け継ぐことになります。これは、最も一般的な相続の形ですが、故人に借金といったマイナスの財産(債務)がある場合には、注意が必要となります。プラスの財産同様、債務の割合は、相続人の間でその割合を自由に決定することが可能です。しかし、この割合は第三者である債権者に主張することはできないので、例えば、債務全額を1人の相続人が相続したとしても、債権者が当該相続人から債務回収できない場合には、別の相続人へ債務請求することが可能となっています。
②限定承認
限定認証というのは、プラス財産の範囲内で、債務の弁済義務を負うことをいいます。つまり、故人のプラス財産から債務を支払う形になり、相続人が自分の財産から債務を支払うことはありません。故人にプラス財産とマイナス財産のどちらが多いかその詳細が不明な場合、有効な選択肢と言えます。しかし、限定承認は3ヶ月以内に家庭裁判所へ相続人全員で申立を行うことが必須で、その後の手続も煩雑なため、実際にはあまり行われていません。
③相続放棄
相続放棄というのは、全ての財産(プラス財産もマイナス財産も)を相続人は受け継がないことをいいます。故人の遺産で借金のようなマイナスの財産がプラス財産より多い場合に有効です。また、故人の生前、他の相続人と交流が無かったなど、その相続に関わりたくない場合にも相続放棄は有効な選択肢になります。相続放棄をすると放棄した相続人は始めから相続人ではなかったことになります。
相続人全員でおこなう必要のある限定承認と異なり、相続放棄は相続人の一部が単独で行えます。相続放棄をするには、自分が相続人になったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出る必要があります。期間内に申し出なければ、単純承認をしたと見なされます。
遺産相続方法を選択するときの注意点
ここまで説明してきた3つの相続方法について、どのような場合に選択すれば良いのかまとめます。
●単純承認
相続財産の総額がプラスである(プラスの財産>マイナスの財産)
たとえ相続財産の総額がマイナスだとしても全てを相続すると決めている
●限定承認
相続財産の総額を3ヶ月以内に把握できないが、プラスであれば相続したい
相続したい資産があるため、相続放棄はしたくない
●相続放棄
相続財産の総額が明らかにマイナスで借金返済の義務を負いたくない
故人との関係性において遺産相続に関わりたくない
相続人は、これら3つの方法の内どれかを自由に選ぶことができますが、相続する財産の一部でも処分した場合には、限定承認や相続放棄は基本的にできなくなります。限定承認や相続放棄を行った後に、故意に相続財産を隠す、消費するなどが発覚した場合も、単純承認となってしまうということを覚えておきましょう。
遺産分割方法とは?
次に、遺産を実際に分けるときに、どの様な分け方があるのか説明します。
①現物分割
現物分割というのは、その名の通り財産を現にあるその物のまま、形を変えずに分割する方法です。具体的には、土地なら土地、お金ならお金のまま相続人の誰が取得するかを決めます。土地の場合は分割して分けることもあります。
②換価分割
換価分割というのは、先ほどの不動産や自動車の様にそのままの状態では、分割できないもしくは分割しにくい財産を売却して現金に換え、得られた現金を相続人の間で分けるという方法です。主に不動産の場合に、この方法はよく採用されています。財産の共有状態を避け、公平な分割を行うことが可能です。しかし、希望価格で売却することができるとは限らないので、資産が目減りすることもあります。また、不動産の売却時に発生する費用、売却手続を行う者、最低売却額、売却するまでの期間など、後に不満を残さない為にも事前に相続人の間で合意しておきましょう。相続人の間での調整が難しい場合には、売却換価を代理人に任せることもできます。
③代償分割
代償分割というのは、例えば、特定の不動産を相続人の一人が取得し、その代わりに他の相続人に相応の代償金を支払う、といった方法になります。例えば、故人の配偶者とその他の相続人との関係性が薄い場合、配偶者が全ての財産を相続する代わりに代償金を支払う形を取る、といったケースです。不動産は引き続き利用したいとか、売却で資産価値の目減りを避けたい、といった場合に適した方法です。
④共有分割
相続財産の所有権を相続人の間で共有しておく、といった分割方法です。権利を分割するので、比較的簡単に公平に分割することができます。ただし、共有した不動産を売却するような場合には、共有者全員の同意が必要となるなど、重要な場面で意見が割れてしまうと何もできなくなる、といったデメリットがあります。明確な将来像を持たずに共有分割で決着をつけてしまうと後々トラブルのもとになりますので注意が必要です。