負債を相続しないための手続とは?相続放棄と限定承認について知ろう!

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更新日:2021年06月29日

 遺産相続において、相続人として取り得る選択肢には、単純承認・限定承認・相続放棄の3つあることは、コラム「遺産相続で把握しておきたいポイント!遺産相続の方法と種類について知ろう!」で説明しました。
 ここでは、負債を相続しないために裁判所での手続が必要となる相続放棄と限定承認についてお伝えします。

目次

相続放棄について

そもそも相続放棄とはどういうもの?

 一般に遺産というと、現金、預貯金、不動産など、プラスの資産をイメージすると思いますが、実際には故人が遺した借金などのマイナスの資産も相続の対象となる遺産です。このマイナスの資産がプラスの資産よりも多くて相続したくない場合、また、何かしらの事情で遺産分割に関わりたくない場合にできるのが相続放棄です。これらメリットについて、具体的なみていきましょう。

相続放棄を行う2つのメリットとは?

 まず一つ目のメリットに、負債を相続しなくてもよくなることです。例えば、故人がサラ金、クレジットカード、銀行などから借入をしていたり、誰かの借入の連帯保証人になっていたりなどした場合に故人の遺産を相続すると、それを相続した相続人が故人の負債の返済もしなくてはならなくなります。そのような場合に相続放棄をすることで、借金を返済する必要はなくなりますし、他人の借金の保証人の立場を引き継がなくてもよくなります。
 そして二つ目のメリットは、何かと負担の多い遺産分割手続に一切関わる必要が無くなることです。例えば、自分が法定相続人に該当する場合、様々な遺産分割の手続を進める必要があります。その為には、まず法定相続人が集合して、遺産分割について話し合うことから始まります。この時、相続人同士の意見が合わないと、遺産相続トラブルになることも多いのが実際です。トラブルが長引いてくると、家庭裁判所で調停や審判を起こす必要性も出てくるなど、状況によっては解決するまでに3年以上かかるケースもあります。また、故人が自分で事業をしていた場合には、準確定申告が必要で、相続税申告と納税も必要になります。さらに、不動産を相続をした場合には、不動産相続登記が必須です。相続放棄をすることで、これらの法定相続人との話し合いや遺産相続手続に関わる必要が無くなります。

限定承認について

そもそも限定承認とはどういうもの?

 限定承認とは、遺産の中にプラス財産とマイナス財産があった場合に、相続したいプラス財産がある場合に行う手続です。マイナス部分は故人のプラスの財産の価額を超えて返済する必要が無くなります。

限定承認を行う2つのメリットとは?

 先ず一つ目は、返済しなければならない程度がプラス財産の限度となりますので、想定外の負債を負うことによるリスクを避けることができます。相続人が生前の故人の生活ぶりを知らない様な場合では特に、遺産分割時には見つからなかった故人の負債が相続手続を一通り終えてから見つかるということも起こりかねません。単純に相続するとこのような負債も全額責任を負わなければならなくなりますが限定承認を行うことでリスクを回避できます。
 そして二つ目は、相続したい財産を確保できる可能性が出てくることです。相続放棄した場合、故人の遺産は一切相続することができませんが、相続したい財産の価値相当分の負債を負担できるのであれば、その財産を手元に残すことができます。

相続放棄と限定承認の違いについて

プラス財産を受け取れるか

 相続放棄の場合、相続放棄をした相続人は、相続が発生した時点に遡って相続人でない扱いになり、全ての遺産について、相続することができなくなります。一方、限定承認の場合、プラス財産の価値相当の債務の返済ができるのであれば、遺産を相続することができるといったことが大きな違いです。

共同相続人全員がする必要があるかの有無

 相続放棄の場合は、相続人が単独で手続を行うことができます。一方、限定承認の場合は、共同相続人全員での手続が必要です。相続人の内、誰か1人でも単純承認をした場合には、限定承認を行うことはできません。

手続きの進め方について

申し立て方法

 相続放棄も限定承認も、相続の開始を知った時から3ヵ月以内に家庭裁判所へ申述します。
 この時、申述書の他に故人の住民票や申述人の戸籍謄本など必要書類がありますので、実際に手続を検討される時は、専門家に相談するか、裁判所のサイトをご参照されると良いでしょう。

申し立てに当たっての注意事項

 相続放棄でも限定承認でも期限内に申述をする必要があるのは先に説明した通りです。特に限定承認では、相続人全員で手続する必要があることから、相続人の間でなかなか意見が整わず3ヵ月を経過してしまうと単純承認をしたと見なされてしまうので注意が必要です。
 また、相続放棄でも限定承認でも法定単純承認には注意が必要です。うっかり相続財産の処分を行ってしまうと、当然に単純承認したとみなされて(これを法定単純承認といいます)、相続放棄も限定承認もできなくなります。これは、相続人が限定承認または相続放棄をした後に相続財産を隠蔽したり、自分で使用してしまったりした場合も同様です。

手続期間の目安

 相続放棄の場合、相続人が家庭裁判所に相続放棄を申述すると、審査を経て相続放棄の受理書が送られ、手続は終了します。この間、約1ヶ月~2ヶ月です。
 これに対して、限定承認の場合、相続人が家庭裁判所に限定承認を申述すると、相続人が数人あるときは相続財産管理人が選任されます。その後、限定承認が行われた旨を公告し、債権者や受遺者へ支払いをした上でプラス財産が残ったら、相続人はその財産を受け取ることができる仕組みになっています。この間、約半年かかるのに加えて、相続人は残ったプラス財産について遺産分割協議を始めることになります

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