遺言書を書く前に知っておきたいこと!遺言の基礎知識!

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更新日:2021年03月31日

遺言書という言葉は誰でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、日本で令和元年に作成された公正証書遺言(後述、日本公証人連合会発表)は11万件ほどで、まだまだ十分に知られているとは言えないのかもしれません。遺言書は遺産相続手続をおこなう際に、その進め方を左右するばかりか、場合によっては遺族や親族の将来にも影響を与える重要な書類です。ここで遺言の基礎知識についてお伝えします。

そもそも遺言とは一体何か?

遺言というのは、一般的に「ゆいごん」と読みますが、法律用語では「いごん」です。遺言は法的に「被相続人(故人)の最終意思表示」と定義されていますが、ここでいう「最終」は死の間際を意味するものではありません。この最終意思表示は、自分の死後に生じる財産処分の法律行為に対して、意思表示の効力が及ぶことを意味しています。
このことから遺言は、故人となった遺言者が遺産の承継に関して、自分の意思反映をさせることが可能な唯一の法的方法になります。遺言を遺すことで財産の帰着先をある程度自分の意思に沿う形で相続人へ配分でき、また、相続人同士の不毛な相続争い予防し、トラブルを最小限に留めるメリットがあります。

遺言の種類とは?

➀自筆証書遺言

自筆証書遺言の特長について

自筆証書遺言とは、遺言者が自筆で遺言書を作成するものです。これを遺すために必要な手続きは無く、最も簡便な利用しやすい方法といえます。遺言者は、遺言全文・日付・氏名を自筆し、押印することで、遺言として効力が認められる遺言書を作成することができます。(2019年1月13日からは目録については一定条件のもと自署しなくてもよくなりました。)

自筆証書遺言のメリット・デメリットについて

自筆証書遺言は、前述の様に特別な手続は不要なため、費用をかけずに手軽に作成できること(1)、遺言を書いたことは誰かに伝える必要もないので他人に遺言内容を知られないこと(2)がメリットです。一方デメリットは、遺言を個人で管理することで、死後発見されなかったり、偽造や隠蔽されたりする恐れもあり(3)、書いた当時の遺言能力での有無が不明でトラブルに発展するケースもあること(4)です。他にも、遺言としての効力があるか専門家によるチェックを受けていないので、不備により無効になる可能性もあります(5)。さらに、遺言を発見した相続人が遺言を家庭裁判所に提出し検認手続きを行う必要があり、相続人へ少し負担がかかります(6)。

自筆証書遺言のデメリットを補うために、2020年7月10日に自筆証書遺言の保管制度が施行されました。デメリットの内(3)(5)(6)は解消されました。ただし、専門家のチェックを事前に受けておかないと、様式は満たされて法律的には有効な遺言書ではあっても、内容的には不正確で意味のない遺言書である場合もあるので、注意が必要です。

自筆証書遺言を書き上げるとしても、内容が適切か弁護士にご相談されることをお勧めします。

②公正証書遺言

公正証書遺言の特長について

公正証書遺言とは、証人2人の立ち会いの下で、法律行為の適法性等について証明・認証する公証人が遺言者から遺言内容を聴き取りながら作成し、公証人役場で保管される遺言です。自筆証書遺言に比べると確実性が高い形式の遺言になります。

公正証書遺言のメリット・デメリットについて

公証人が作成する公正証遺言は、自筆が困難な人でも遺言でき、内容に不備が生じる可能性も低く、また、遺言書の保管も任せられることから、偽造・隠蔽・紛失などの心配はありません。また、公証人が本人の遺言能力を確認するので、後に遺言の有効性を否定されるリスクも軽減できます。公正証書遺言は、作成者の氏名、生年月日、作成日といった情報がデータベース化されるので、相続が開始すると相続人や遺言執行者が日本公証人連合会の遺言書検索システムを利用してその存否を検索できます。自筆証書遺言の様に検認の必要はありません。
メリットの多い、最も確実な遺言方法ですが、遺言書作成時に公証役場に出向くか、公証人に出張してもらって作成する必要があり、手続きには手間と費用のかかる点がデメリットです。
公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が作成してくれますが、そもそもどのような遺言を遺すべきか迷っている場合にはいきなり公証役場にいっても遺言は作成できません。弁護士等の専門家に内容について事前に相談することも検討してみましょう。

③秘密証書遺言

秘密証書遺言の特長について

秘密証書遺言とは、遺言者が証人2人とともに遺言書を公正役場へ持参して、遺言書の存在を保証してもう方法です。遺言内容は公開せず、遺言事実だけを認めてもらうための手段です。自筆証書遺言と異なり、自分で署名と押印をおこなえば、その他の部分は、パソコンでの作成や代筆が認められています。

秘密証書遺言のメリット・デメリットについて

秘密証書遺言では、手続を進めるに当たって公証人と証人に内容を公開する必要はありません。ですから、遺言内容を誰にも知られずに遺言の存在だけ認識してもらうことができます。自筆しなくて良い点も、自筆証書遺言に比べるとメリットです。ただ、誰にも内容公開しないので、遺言に不備があった場合に遺言内容が無効になる場合もあるといったデメリットがあります。また、手続き後は自分で遺言書保管が必要なので、紛失や盗難リスクもあります。

④特別方式遺言

特別方式遺言とは、病気や事故で死が迫っている時に活用可能な遺言形式です。特別方式でおこなった遺言は、普通の方式で遺言ができるようになってから6ヵ月生存している場合には、その遺言は無効になります。特別方式遺言には、状況に応じて危急時遺言と隔絶地遺言といった2種類の形式があります。

危急時遺言:一般臨終遺言、難船臨終遺言

一般臨終遺言とは、疫病などで死が迫っている時にできる遺言形式です。3人以上の証人の下、遺言者が遺言内容を口頭説明し、それを文章に残し遺言します。だだ、遺言書を作成した日から20日以内に裁判所へ確認請求をしない場合には、遺言効力が消えてしまうので注意しましょう。
難船臨終遺言とは、船舶の遭難時に、死が迫っている時にできる遺言形式です。2人以上の証人の下、遺言者が遺言内容を口頭説明し文章に残して遺言します。前述の一般臨終遺言とは異なり期限はありませんが、遅滞すること無く確認請求を行う必要があります。

隔絶置遺言:一般隔絶地遺言、船舶隔絶地遺言

一般隔絶地遺言とは、隔離治療中や刑務所に居るなど、自由行動することができない際に、おこなうことができる遺言形式です。警察官1人と証人1人以上の下、遺言者が遺言作成をする必要があり、他者が代筆することは原則認められません。また、遺言を遺す際には、警察官と証人の署名と押印が必要になります。
船舶隔絶地遺言とは、船の中で遺言書を作成したい場合に利用することができる遺言形式です。船長あるいは乗務員1人といった証人2人以上の下、遺言者が遺言書作成し、証人である船長あるいは乗務員の署名と押印が必要です。

まとめ

遺言を遺すに当たって知っておいた方が良い遺言の基礎知識をお伝えしてきました。遺言を遺すにも、色々と形式があったり、状況に応じた遺言の遺し方があったり、遺言の方法や手段は様々です。ですから、自分の状況や希望にあった遺言の形式を選択することが大切です。それぞれの遺言作成の形式にはメリットもデメリットもあるので、どの方法が良いか分からない場合、またせっかく作成しても無効になるリスクを避けたい場合には、ぜひ法律の専門家である弁護士にご相談ください。

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